Henry's Freedom Box A True Story from the Underground Railroad by Ellen Levin
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☆受賞歴☆
2008年Coldecotto Honor Book
☆ストーリー☆
アメリカの黒人奴隷の話。奴隷のヘンリーとその家族は、大きな家を持つ主人のところで働いていました。ヘンリーは、自分が何歳であるか知りません。黒人奴隷は自分の誕生日を知ることは許されてなかったからです。ヘンリーの主人が死ぬと、賢かったヘンリーはその息子の下で働くように言われました。家族とお別れです。そこで幸運にも妻に出会い、子どもをもうけました。奴隷同志が結婚する場合、主人が承諾が必要でした。ある日、別の主人に仕えていた妻と子供が、ヘンリーが仕事に出ている間に奴隷市場で売られました。悲しみに打ちひしがれたヘンリーは、奴隷制度のない北部への脱出を試みることにしました。そして、北部に着いたとき、彼には、Boxというミドルネームと誕生日が与えられたのでした。
☆感想☆
絵本では、このように奴隷個人の小さい物語も語られています。それを読んでいくことで、黒人奴隷の酷い扱いが、大きいニュースによって知識として理解するのではなく、彼らの苦しみを心で感じてきているという気がしています。黒人奴隷のヘンリーは、物ですから、妻と子供を売られることなど知る余地がありませんでした。そして27時間も小さい箱の中に入り、無事生きて目的地へと到着し、自由を獲得しましたが、妻と息子に再開することは叶いませんでした。1800年代半ばには、黒人奴隷は400万人いて、6万~10万人の黒人奴隷が「地下鉄道」を使って自由を求めたと言われています。ヘンリーのように、うまく逃れた人ばかりではなかったでしょう。リンカーンの奴隷解放宣言は、1862年。公民権法成立は、1964年です。アメリカ支配階級と黒人奴隷の関係は近代史です。ヘンリーは、その後、イギリスに渡り再婚したそうです。売られた妻と子供を想うと気持ちは複雑ですが、家族を思って一生独身だったというのも、あまり現実的でもないな、とも思います。
読み聞かせるなら:7歳以上でいいと思う。
読み聞かせるなら:4歳くらいからOKと出版社にあるけれど、7歳以上でもいいと思います。